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Technology
保有技術
沼津事業所における省エネ活動への取り組みが評価され、ETRIA(当時リコー)は2023年度(令和5年度) 省エネ大賞経済産業大臣賞を受賞しました。
リコーグループでは、「環境保全」と「利益創出」の同時実現を目指す「環境経営」をいち早く提唱しており、「脱炭素社会の実現」、「循環型社会の実現」を目指す環境目標を設定し環境経営を進めています。
沼津事業所は、複写機やプリンタで使用するトナー、OPC、インク、サーマルペーパー等の消耗品の生産を行っており、化学工場を中心として生産ラインを多く有しています。エネルギー使用量はリコーグループ全体の約11%を占め、非常に多くのエネルギーを使用しています。
このような背景から、早期に脱炭素社会の実現に貢献するべく、様々な環境への取り組みを進めています。
現在、日本国内において多くの未利用エネルギーが発生しています。資源エネルギー庁のデータに基づく国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)の報告では日本国内の一次エネルギーのうち、最終的にエネルギーとして使用される部分は30%から40%程度であり残りの60%から70%程度は熱等によってロスされている状況です。(関連情報-引用文献)
沼津事業所内でトナー生産工場は最もエネルギー使用量が多く、電気や蒸気といった投入エネルギーのうち約60%を廃水熱や廃気熱としてロスされている状況でした(図1)。この未利用で排出されているエネルギーに着目しエネルギーの3R(図2)という独自の視点で活動を展開しました。結果から、代表事例としては従来のエネルギー使用量に対して、Reduce活動では排ガス処理工程で使用していたエネルギーの69%、Reuse活動では濃縮装置で使用していたエネルギーの82%、Recycle活動では高温プロセスで使用していたエネルギーの27%分を削減することに成功しました。
1.エネルギーのReduce事例 溶剤回収システムと排ガスの燃焼レス化
トナー生産工場では生産過程で揮発性有機化合物(VOC)を含む排ガスが発生します。VOCは人体に影響がある物質のため都市ガスを使用して排ガスを燃焼し、浄化していました。
そこで都市ガスを使用せず(Reduce)、さらにVOCを有効活用できるように吸脱着式の排ガス処理装置を導入しました。この装置は吸着材が搭載されています。吸着剤は温度による特性があり、VOCを低温時は吸着剤に吸着、高温時は吸着剤から脱着します。この特性を利用して、まず生産過程で排出されたVOCを吸着材に吸着させ浄化、吸着材のVOC濃度が一定以上高くなった時点で温度を上げて脱着し、急冷して液化させることで有機化合物を回収します。
この新たな装置を導入したことで従来の装置と比較して69%のエネルギーを削減しただけでなく、回収した溶剤を再度トナー生産工場で再利用することに成功しました。(図3)
2.エネルギーのReuse事例 廃棄エネルギー再利用技術
トナー生産工場で発生する一部の排水は濃縮装置を使用して水分を蒸発させ減容化しています。従来装置は蒸気を常時供給する必要があったため、多くのエネルギーを消費していました。
そこで、排水を蒸発させて発生した水蒸気を圧縮→昇温し、水蒸気の持つエネルギーを再び使用(Reuse)することのできる蒸気圧縮機が搭載された新たな装置を導入しました。新たな装置を導入したことで従来の装置と比較して82%ものエネルギーを削減することに成功しました。(図4)
3.エネルギーのRecycle事例 ヒートポンプによる廃棄エネルギー回収技術
ヒートポンプは、低温の領域からエネルギーを高温域へ汲み上げることで、少ない電気エネルギーの投入で大きな加熱が可能であり、環境・コスト面で大きなメリットがあります。しかし、熱の供給と需要のバランスが取れ、かつ各熱の変動が装置の追従できる許容変化幅で収まっている時に、理想的な効果を発揮することができるためこれらを考慮する設計が必要です。
今回デジタル技術を活用し、熱収支をシミュレーションすることで、ヒートポンプの課題をクリアする工程の設計に成功しました。
対象工程は、冷却水から発生する30℃程度の低温廃熱をヒートポンプで回収(Recycle)し、65℃の温水として高温プロセスに必要なエネルギーを供給できるようにしました。その結果、従来高温熱源をすべて蒸気で賄っていた状態から低温廃熱を再利用できるようにしたことで従来の装置と比較して27%ものエネルギーを削減することに成功しました。(図5)
沼津事業所内においては、まだ多くの廃水熱や廃気熱といった未利用エネルギーが存在しています。我々ETRIAの技術者が培ってきたデジタル技術やシミュレーション等を活用し、エネルギーの3Rを軸とした更なる施策を進めます。
また、沼津事業所内に限らず、今後もETRIAでは生産事業、製品事業の両方で環境保全に取り組んでいきます。