JAEN
Technology
保有技術
将来のあらゆる製品を見据えた「共通の設計図(コア資産)」を創造し、再利用を前提として設計するということがオブジェクト指向設計技術の核となっています。この強固な設計図を元に新しいアイデアの開発から保守まで幅広く、安全かつ迅速に形にでき、多様化する市場のニーズに応え続け、多彩な製品ラインナップを高い品質で支えます。
複合機やプリンタの世界では、デジタル化を契機として高機能化/ネットワーク化が進み、必然的にその制御ソフトウェアはますます大規模・複雑化してきました。さらに近年は、オフィスだけでなく、業種・業務、各種店舗などに向け多様化し、ニーズに広く、早く応えていく必要があります。
そこで、オブジェクト指向の考え方を用いて、製品の制御方式の違い、ハードウェアやレイアウトの違いに影響されない「共通の設計図(コア部)」と、製品固有の「変動部」を創り、この2つを組み合わせることで、どんな要求も柔軟にかつ迅速に開発できるシステムを構築します。
本技術は、以下の技術で構成されます。
事例として方式の違うドキュメントフィーダー(以降DF)を搭載する複合機のスキャナ制御について、手続き型の設計とオブジェクト指向による設計の違いを説明します。
二つのDF方式
① シートスルー方式:スキャナキャリッジ位置は固定で、原稿を搬送させながら読み取ります。(図1)
② フラットベッド方式:原稿を読み取り台 (コンタクトガラス)上に搬送させ停止、スキャナキャリッジ位置を動かしながら読み取ります。(図2)
●手続き型設計
DFの動作視点で分析し、その手順を方式毎に作成し、製品開発を行います。
手続き型では、仕様変更/追加の時、図3のようにそれぞれの制御全体を見て、成立するように修正が必要となり、複雑化して再利用性も悪くなります。
●オブジェクト指向型設計
「原稿を搬送して、画像を読み取り、画像を加工しながら、原稿を排出する」という、どんなDFでも変わらない機能を本質と捉えて「コア部(共通部)」、ハード依存の制御差分を「変動部」として抽出します。これらの共通部と変動部の組み合わせにより製品開発を行います。
両面スキャン機能の追加時は、図4のように変動部のみで対応できるため、コア部に影響を与えない開発を実現できます。
このように、オブジェクト指向によってシステムのコア資産*1と、差し換え可能な変動部を明確に分離します。これは、本質的な機能を用いて、未知の要求にも備えられる構造とし、多様なニーズに迅速かつ高品質な製品展開を可能にし続けます。
*1 コア資産とは、製品ごとの違いに依存しない、共通の土台となる設計・開発資産全般を指します。
①「資産の熟成」が世代を超える高信頼性を実現します。
コア資産を使った開発のもう一つの効果は、品質が成熟し続けることです。コア資産は製品が世代を重ねるごとに改善・強化され続けます。
その資産を受け継いで、新製品はスタートラインから高い品質を持ち、世代を超える信頼性を実現します。(図5)
②成熟した品質が、未来を先行して創造する時間を作ります。
オブジェクト指向によってプロジェクトは円滑に収束し、終盤の工数は安定します。
この終盤の期間を「技術革新フェーズ」とし、この期間を使って新しい事にチャレンジします。
このチャレンジが次の開発をさらに加速させます。(図6)