JAEN
Technology
保有技術
製品やシステムの設計・検証を、数理モデルやシミュレーション技術を用いて仮想空間で行う開発手法(MBD)を用いて複雑な制御設計を効率的かつ高精度に進めます。
モデルベース開発(Model-Based Development:MBD)とは、製品やシステムの設計・検証を、数理モデルやシミュレーション技術を用いて仮想空間で行う開発手法です。この手法は、自動車業界などの複雑な制御が求められる分野で広く取り入れられており、車両挙動や制御システム設計に活用され、開発効率を大きく向上させています。
今回の事例として取り上げるのは、複合機の定着装置です。定着装置はトナーを紙に定着させるだけでなく、印刷立ち上がり時間や消費電力などユーザー体験・環境性能にも大きく影響する重要なユニットです。しかし、定着性能は紙種・紙サイズ・トナー量・搬送速度など多様な要因に依存するため、設計時にはこれらの「ばらつき」を考慮した制御設計が求められます。従来は実機ベースでの評価が主流で開発期間や経費が多くかかっていました。
MBDでは、実機を使わずに多数の条件を仮想的に試すことができるため、
・設計初期での性能評価が可能
・ばらつき要因を網羅的に検証できる
・試作回数を減らし開発期間を短縮できる
このような特徴により、複雑な制御設計を効率的かつ高精度に進めることが可能となります。
本技術は、以下の技術で構成されます。
MBD適用にあたっては自社の定着システム技術を活用し、以下の2つのモデルを構築・連携しています。
1.制御モデル(温度制御ロジックのモデル)
・Matlab/Simulink*1上で構築
・PID制御やフィードフォワード制御*2、状態遷移ロジックなどの制御ロジックをモデル化
・プラントモデルと連携し、制御性能を仮想空間で検証可能
2.プラントモデル(定着装置の物理挙動モデル)
・熱伝導・放射・対流を考慮した1-Dモデル*3をベースに、必要に応じて3-Dモデル*4での検証を実施
・モデル精度と計算時間のバランスを考慮し、制御設計に適した軽量モデルを構築
*1 Matlab/Simulink
MathWorks社が開発した、数値計算とシステムシミュレーションのための統合開発環境
*2 PID制御、フィードフォアード制御
・PID制御:偏差をもとに比例・積分・微分で補正するフィードバック制御
・フィードフォワード制御:外乱や入力を事前に予測して補償する制御
*3 1-Dモデル
・伝熱要素(熱容量、伝導、対流、輻射)の組み合わせでモデル化
・高速に解析できるが、精度はモデルの正確さに依存
・モデル化に必要なパラメータの特定が困難な場合あり(複雑な形状の部品、空気への伝熱など)
*4 3-Dモデル
・CAD形状を用いて構造を忠実にモデル化
・高精度な解析が可能だが計算時間を要する
定着制御設計にMBD技術を適用した結果、対象とした開発項目において作業時間を従来比で約40%削減しました。